競渡(読み)けいと

精選版 日本国語大辞典 「競渡」の意味・読み・例文・類語

けい‐と【競渡】

〘名〙 舟の競漕。特に、長崎で六月中旬(もと五月一日)に行なわれる舟の競漕。中国から伝わったもので、龍をかたどった小舟に旗を飾り、銅鑼(どら)太鼓などの鳴物入りで競漕するもの。ペイロン。《季・夏》 〔色葉字類抄(1177‐81)〕
俳諧・増山の井(1663)五月「竸渡(ケイト)〈略〉竸渡とは舟にて河を渡るに遅速を争事也」

きょう‐と キャウ‥【競渡】

〘名〙 船をこいできそうこと。競漕。船競(ふなきおい)
西宮記(969頃)八「於冷泉院、競渡負態」

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普及版 字通 「競渡」の読み・字形・画数・意味

【競渡】きよう(きやう)と

小舟の競争。〔楚歳時記〕五五日~是の日競渡し、雜る。〔注〕俗に屈原汨羅(べきら)に投ずる日、其の死を傷むが爲なり。故にびに舟楫を命じて、以て之れを拯(すく)ふ。

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世界大百科事典(旧版)内の競渡の言及

【年中行事】より

…3月3日の上巳節は身の汚れを水で洗い落とす行事であり(曲水の宴),この前後,踏青といって郊外への散歩も行われる。 夏になると,5月5日の端午節が最大の行事であり,とくに長江(揚子江)中下流域では盛んに競渡(ボート・レース)が行われた。これは粽(ちまき)を食べることとともに,詩人屈原との関連で説明されるが,実は雨乞いの農耕儀礼に基づくという。…

【ペーロン】より

…この種のハーリーは,沖縄全域にわたって100ヵ所以上もの土地で現に行われている。 日本のペーロンやハーリーという呼称や様式は,中国大陸の華中・華南に広く分布している竜船競渡(きようと)行事の伝播,受容とみてよい。中国では,端午節の催しとして競渡すなわち船競漕が盛んに行われている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」