種子島家譜(読み)たねがしまかふ

日本歴史地名大系 「種子島家譜」の解説

種子島家譜
たねがしまかふ

八九巻 上妻宗恒ほか編

原本 種子島(西之表市立種子島開発総合センター寄託)

写本 東京大学史料編纂(巻二六まで)

解説 中世以来種子島を領有した種子島氏の系譜集で、種子島研究の基本史料。鎌倉期の元祖信基以来歴代の島主ごとに編年順に記事と文書を収める。寛政一〇年種子島久柄の命を受けた家老上妻宗恒が編纂に着手し、延宝五年の上妻隆直編「種子島譜」と明和六年の平山顕友編「種子島正統系譜」の成果をもとに、文化八年に前年までの分二六巻がまとめられた。その後編纂は明治二四年まで種子島家で続けられた。種子島氏の鹿児島邸用(正本)西之表の本邸用(副本)の二種類があったが、鹿児島の正本は第二次世界大戦で失われ、現存するのは副本である。ただしうち三一巻分は大戦後の火災で焼損し、のち東京大学史料編纂所の正本写全二六巻などにより復元された。内容は歴代の履歴・事跡はもとより、各治世下で起こった事件(ポルトガル人漂来や鉄砲製法の伝来ほか)はじめ、大小様々な出来事や、島内の政治・社会・経済の動向および島外との交易海運・流通、異国船警固関係、祭礼や年中行事など、収められた記事や文書は多彩かつ豊富で、中世から近世の種子島の歴史・地理民俗について網羅的に知られる。巻一―二六を鹿児島県史料家わけ四に収載。続いて巻二七―八九を家わけ八・九に分載して刊行の予定。なお文書を除いた記事のみに熊毛文学会の全六巻本がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報