祿(読み)ろく

精選版 日本国語大辞典 「祿」の意味・読み・例文・類語

ろく【祿】

〘名〙
① 天から与えられたさいわい。しあわせ。福徳。福祿。〔爾雅‐釈詁〕
② 官に仕える者に下付される給与。昔は絁(あしぎぬ)・綿・布・鍬・穀物などの生活必需品を身分・階級に応じて与えられたが、後世は知行・扶持米・給金などにかわった。給与。給金。扶持。
※令義解(718)祿「凡在京文武事、及大宰、壱岐、対馬、皆依官位祿。〈略〉自八月正月。上日一百二十日以上者。給春夏祿
※読本・雨月物語(1776)貧福論「岡左内といふ武士あり。祿おもく、誉たかく」 〔論語‐為政〕
当座の褒美・贈り物などとして賜わるもの。祝儀。引出物。祿の物。たまいもの。たまもの。
※大和(947‐957頃)一三二「ろくに大袿(おほうちぎ)かづきて」
※古今著聞集(1254)九「叡感のあまりに祿を給けるとなむ」 〔詩経箋‐小雅・瞻彼洛矣〕
④ 富。財産。
日葡辞書(1603‐04)「Rocuuo(ロクヲ) ツム、または、タクワユル〈訳〉人に施すほど沢山の富をたくわえる」
⑤ 生活の資。米穀や金銭。
⑥ もうけとして手に入れたもの。利潤。利益。
浮世草子本朝二十不孝(1686)序「夫々の家業をなし祿を以て万物を調へ教を尽せる人常也」
代償となる金品
※読本・雨月物語(1776)蛇性の婬「おのが物とては爪髪の外なし。何を録に迎へまゐらせん便もなければ」

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