社会政策学会(ドイツ)(読み)しゃかいせいさくがっかい(英語表記)Verein für Sozialpolitik ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「社会政策学会(ドイツ)」の意味・わかりやすい解説

社会政策学会(ドイツ)
しゃかいせいさくがっかい
Verein für Sozialpolitik ドイツ語

1873年ドイツで、社会問題や社会政策に関し研究・提案を行うため設立された学会。19世紀後半、資本主義経済の目覚ましい発展につれて、労働者の貧困労働争議など社会問題が深刻になり始めた。G・シュモラー、L・ブレンターノ、A・ワーグナーら歴史学派経済学者は本学会を創設、以来、工場法や中小企業、農業税制、交通など当時の重要な経済・社会問題について実証的な調査研究を進める一方、社会政策についても具体的提案を行い、学界官界ジャーナリズムに多大の影響を及ぼした。学会の内部には保守派、自由派の諸潮流があったが、その基本理念は、社会主義に反対しつつも、資本主義の欠陥を認め、国家の政策を通じて階級対立の緩和を図る社会改良主義であった。第一次世界大戦後、学会はしだいに存在意義を失い、ナチス政権の成立後、解散に追い込まれた。大戦後1948年に再建され、今日では「経済・社会科学学会」Gesellschaft für Wirtschafts- und Sozialwissenschaftenとし、そのあとに「社会政策学会」と追記している。

[木谷 勤]

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