日本大百科全書(ニッポニカ) 「石臼(生活)」の意味・わかりやすい解説
石臼(生活)
いしうす
ものを破砕、粉化する石製の道具。中石器時代以来、全世界的に穀物、肉類、顔料をつぶすためのくぼみの深い石皿として使われる。日本の縄文時代の石臼は、厚みのある石を鉢状に深くくぼませたもので、堅果(けんか)類の粉砕に使われ、中部山岳地方の中期文化特有のものである。古墳時代の石臼は赤色顔料の精製に用いたものがある。上臼と下臼が対をなし上臼が回転して磨(す)りつぶす挽臼(ひきうす)は、古代オリエントのロータリーカーンや中国漢代の石磨(せきま)を起源として、日本には奈良時代に伝わり、室町時代から江戸時代にかけて普及し、五穀を粉にする農民の必需品であった。下臼に受け皿のある小型石臼は茶臼とよばれ、室町時代以来、抹茶(まっちゃ)生産に使われた。
[十菱駿武]
『三輪茂雄著『臼』(1978・法政大学出版局)』
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