五穀(読み)ごこく

精選版 日本国語大辞典 「五穀」の意味・読み・例文・類語

ご‐こく【五穀】

〘名〙 (古く「ごごく」とも)
① 米、麦、キビアワ、豆の五種類の穀物。他に麻、麦、キビ、アワ、豆、また、米、麻、麦、アワ、豆とするなどの諸説がある。
続日本紀‐天平四年(732)七月丙午「百川減水、五穀梢彫」 〔法華儀軌〕
穀類総称
※竹取(9C末‐10C初)「玉の木を作りつかふまつりしこと、五こくをたちて、千余日に力を尽したること少なからず」

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デジタル大辞泉 「五穀」の意味・読み・例文・類語

ご‐こく【五穀】

5種類の穀物。ふつう、あわきびをいう。
穀物の総称。「五穀が豊熟する」
[補説]1は、などを数えることもあって一定しない。
[類語]穀物穀類雑穀米穀

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普及版 字通 「五穀」の読み・字形・画数・意味

【五穀】ごこく

五種の穀物。麻・黍・稷・麦・豆、また黍・稷・・麦・稲など、諸説がある。〔論語、微子〕人(老人)曰く、四體めず、五たず。孰(たれ)をか夫子(ふうし)と爲すと。其の杖を植(た)てて(くさぎ)る。

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改訂新版 世界大百科事典 「五穀」の意味・わかりやすい解説

五穀 (ごこく)

主要な5種の穀物の名。転じて穀物類の総称にも用う。中国においては,その内容は古来から次のごとく必ずしも一定せず,麻・黍・稷・麦・豆(《周礼(しゆらい)》天官疾医の注),黍・稷・麻・麦・菽(《大戴礼》曾子天円の注),稲・稷・麦・豆・麻(《楚辞》大招の王逸注),稲・黍・稷・麦・菽(《孟子》滕文公上の注),粳米・小豆・麦・大豆・黄黍(《素問》蔵気法時論の注),稲穀大麦・小麦・菉豆・白芥子(《成就妙法蓮華経瑜伽智儀軌》),大麦・小麦・稲穀・小豆・胡麻(《建立曼荼羅護摩儀軌》),と時代と場所により多少の差のあることがわかる。なお穀名は普通清の程遥田《九穀考》に従うが,稷は粟(あわ)・黍(きび)・高粱(コーリヤン)と種々の説があり,また古代では麻の実は主要な食料であった。日本では五穀といえば,通常米・麦・粟・黍・豆をさす。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五穀」の意味・わかりやすい解説

五穀
ごこく

主食とする穀物のうち、とくに重要な5種をあげて五穀という。日本では、一般に米、ムギ、アワ、キビ、豆をさすが、時代や地域により、その種類や順位は相違する。古くインドではオオムギ、コムギ、米、アズキ、ゴマをさし、中国では麻(おそらくゴマであろう)、ムギ、ヒエ、キビ、豆の5種や、麻、ヒエ、ムギ、米、豆の5種、あるいはキビ、ヒエ、豆、ムギ、米の5種をさした。このほかに六穀(イネ、オオアワ、豆、ムギ、モチキビ、モロコシ)や九穀(ウルチキビ、モチキビ、モチアワ、イネ、麻、ダイズ、アズキ、オオムギ、コムギのほか、諸説あり)という場合もある。

[星川清親]

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百科事典マイペディア 「五穀」の意味・わかりやすい解説

五穀【ごこく】

中国および日本で主要な5種の穀物をさす言葉。転じて穀物の総称としても用いる。中国では《周礼(しゅらい)》に麻・黍(しょ)・稷(しょく)・麦・豆とあるが,諸説があって一定しない。日本ではふつう米・麦・粟(あわ)・豆・黍(きび)をさすが,稗(ひえ)を入れるなどの説もあり,〈いつつのたなつもの〉〈いつくさのたなつもの〉などといった。
→関連項目穀物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五穀」の意味・わかりやすい解説

五穀
ごこく

中国,日本,朝鮮などで常食する主要な穀物5種を総称する言葉。また穀物の総称。六穀,九穀という言い方もある。日本では普通,米,麦,粟,きび,豆を五穀とするが,きびの代りにひえをあげる説もあり,一定しない。中国,朝鮮などでも穀物の定め方に諸説あって一定しないことは同じであり,また六穀,九穀という場合も事情は五穀の場合と同じである。

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旺文社日本史事典 三訂版 「五穀」の解説

五穀
ごこく

江戸時代の主要な穀物の総称
米・麦・粟 (あわ) ・黍 (きび) ・豆をさした。黍のかわりに稗 (ひえ) を入れることもある。

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デジタル大辞泉プラス 「五穀」の解説

五穀

株式会社ピアーサーティーが展開する和食店のチェーン。別業態として「一汁五穀」もある。

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とっさの日本語便利帳 「五穀」の解説

五穀

▽米、粟、麦、豆、黍(きび)または稗(ひえ)

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世界大百科事典(旧版)内の五穀の言及

【保食神】より

…《日本書紀》神代の条の神話では,天照大神(あまてらすおおかみ)の命(めい)により月読尊(つくよみのみこと)がウケモチノカミのもとに行くと,ウケモチが口から飯,魚,獣を出して供応したので,ツクヨミはその行為を汚いと怒り,剣を抜いてウケモチを殺し,アマテラスに報告した。すると,アマテラスは激怒してツクヨミとは二度と会うまいと言い,それで日と月とは一日一夜を隔てて住むのだと説明し,さらにウケモチの死体の各部分から,牛馬(頭),粟(額),蚕(眉),稗(ひえ)(目),稲(腹),麦・大豆(陰部)ができたという五穀の起源説話を載せる。これらの産物名と場所名とは朝鮮語で解けると言われる。…

【大気津比売神】より

…ゲはケ(食物)の意。《古事記》神話の〈五穀の起源〉の条で,八百万(やおよろず)の神が食物をオオゲツヒメに請うたので,鼻,口,尻から種々美味の物を出して進上したのを,スサノオノミコトが見て汚いとして殺すが,その死体の各部分から蚕(頭),稲種(目),粟(耳),小豆(あずき)(鼻),麦(陰部),大豆(尻)ができたとある。食物神の死は秋の刈入れの表象である。…

【穀断ち】より

…五穀または十穀を食べずに修行すること。その修行者を古くは穀断聖(ひじり)といったが,中世・近世には十穀聖とか木食(もくじき)行者とよぶようになった。…

【穀物】より

…また,それ以外の穀物には,タデ科のソバ,アカザ科のキノア,ヒユ科のセンニンコクなどがある。古くから〈五穀豊穣〉などと呼びならわされている〈五穀〉は,イネ,ムギ,アワ,マメにヒエまたはキビを加えていう場合が多い。
[用途]
 穀物は食用,加工用,飼料用などに供される。…

【名数】より

…中国では三皇,五穀,九族などと,事物に特定の数を添えて称える慣習があり,これを名数と称した。古くは事数ともいった。…

※「五穀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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