石文・碑(読み)いしぶみ

精選版 日本国語大辞典 「石文・碑」の意味・読み・例文・類語

いし‐ぶみ【石文・碑】

[1] 〘名〙 事跡や業績などを記念し、後世に伝えるために、その事実を文章にして石に刻み地上に建てたもの。碑(ひ)石碑。〔和玉篇(15C後)〕
[2] (碑) 平安時代、歌枕として著名であった奥州の「つぼのいしぶみ(壺碑)」。もと、坂上田村麻呂が奥州七戸壺村に建てたと伝える。
※堀河百首(1105‐06頃)恋「石ふみのけふのせは布はつはつにあひみても猶あかぬけさ哉〈藤原仲実〉」
[語誌](1)((一)について) 「石文」を「いしぶみ」と読んだという確証はないものの、このような石碑は各地に建てられたと思われる。
(2)平安末期頃からは、歌枕としての(二)をさすことが一般化する。顕昭の「袖中抄‐一九」には坂上田村麻呂によって弓の筈で「日本中央」と刻まれた、「陸奥のおく」「つぼ」の地にある碑(現在の青森県上北郡七戸町が比定される)と解説され、都の歌人異境への憧れを誘う素材であった。

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