着込・着籠(読み)きこむ

精選版 日本国語大辞典 「着込・着籠」の意味・読み・例文・類語

き‐こ・む【着込・着籠】

[1] 〘他マ下二〙 表面に現われないように内側にこめて着る。髪を襟から上着の下に入れて衣服を着る。
源氏(1001‐14頃)葵「髪きこめたるあやしの者ども」
[2] 〘他マ五(四)〙
① 衣服をたくさん重ねて着る。また、衣服の下に鎧(よろい)鎖帷子(くさりかたびら)などを重ねて着る。
滑稽本・八笑人(1820‐49)二「どっさり着込(キコ)ンで居たせへか、からだはちっともぬれねへからおつだ」
※おお、大砲(1961)〈司馬遼太郎〉「幸い鎖帷子を着込んでいたので」
② あらたまった衣服、また、普段と異なった衣服を身につける。
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉須永の話「えらい物を着込(キコ)んで暑かありませんか」

き‐ごめ【着込・着籠】

〘名〙
① 表面に露出しないように内側にこめて着ること。
義経記(室町中か)一「白き大口唐織物直垂めし、しきたへという腹巻きごめにして」
③ 直衣(のうし)衣冠の袿(うちき)の裾を出衣(いだしぎぬ)としないで、指貫(さしぬき)の中にこめて着ること。
山槐記‐永暦元年(1160)一一月一七日「今日不衣。著籠也」
④ 大口(おおくち)などの下袴を指貫や水干袴(すいかんばかま)の下に重ねてはくこと。

き‐ごみ【着込・着籠】

〘名〙 (「きこみ」とも)
① 上着の下に腹巻、鎧(よろい)、鎖帷子(くさりかたびら)などを重ねて着ること。また、その鎖帷子など。きごめ。〔天正本節用集(1590)〕
浮世草子武家義理物語(1688)五「着込(キゴミ)鉢巻して刀の目釘をあらため」
歌舞伎で、二役以上受け持っている俳優が、早変わりの必要があるとき、一方の役の衣装の下に他の役の衣装をつけておくこと。
※歌舞伎・阿国御前化粧鏡(1809)大詰「ト肌を脱ぎ、着込(キゴ)みの形にて」

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