百伝(読み)ももづたう

精選版 日本国語大辞典 「百伝」の意味・読み・例文・類語

もも‐づたう ‥づたふ【百伝】

① 多くの地を伝い過ぎて行く意でかかる。
(イ) 遠隔地であるところから、地名「角鹿(つぬが)」「度会(わたらひ)」にかかる。
古事記(712)中・歌謡「この蟹や 何処の蟹 毛毛豆多布(モモヅタフ) 角鹿の蟹」
(ロ) 遠くへ行く駅馬に鈴をつけていたところから、「鐸(ぬて)」にかかる。一説に、駅鈴の音は遠くまで響くところからとも。
※古事記(712)下・歌謡「浅茅原 小谷を過ぎて 毛毛豆多布(モモヅタフ)(ぬて)ゆらくも 置目来らしも」
② 数えていって一〇〇に至る意で、一〇〇以下の数字やそれと同音の語にかかる。
(イ) 「八十(やそ)」にかかる。
万葉(8C後)七・一三九九「百伝(ももづたふ)八十の島廻(しまみ)を漕ぐ舟に乗りにし心忘れかねつも」
(ロ) 「五十(い)」と同音を含む地名「磐余(いわれ)」にかかる。
※万葉(8C後)三・四一六「百伝(ももづたふ)磐余(いはれ)の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ」

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