出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
力学的エネルギー,熱エネルギー,核エネルギー,その他のエネルギーを電気エネルギーに変換すること。大規模な発電は現在のところ水車や蒸気タービンなどの原動機を利用して発電機を回転して行うものが主体であって,水力発電,火力発電,原子力発電などと呼ばれる。水力発電は水の高低差を利用して水車によって発電機を回転させるもの,火力発電は石炭,石油,天然ガス(LNG)などの化石燃料をボイラーで燃やして得られる高温・高圧の蒸気でタービン発電機を回転させるもの(厳密にはこれは汽力発電といい内燃機関などを利用する他の火力発電と区別している),原子力発電は火力発電の化石燃料の代りに核燃料を使用し核分裂反応の熱エネルギーで蒸気を発生してタービン発電機を回転させるものである。
日本において電気が全エネルギー消費量の中に占める割合はおおよそ40%で今後もそのシェアは増す傾向にある。1995年度における発電電力量は全国で約8700億kWhであって,内訳は原子力33%,LNG火力22%,石油火力18%,石炭火力13%,水力10%,その他となっている。歴史的にみると,明治,大正からつねに水力発電が主体で火力発電は少なく,いわゆる水主火従であったが,昭和30年代に入って安価な石油を燃料とした大容量,高効率の石油火力発電所が盛んに建設されて高度経済成長期の電力供給を担うようになり,1963年になって火力発電が水力発電を上回り火主水従時代に入った。しかし,これもあまり長く続かず73年の石油危機以降は状況が一変した。電気は国の基礎エネルギーであり低廉で安定した供給を確保しなければならない。石油危機以降は,安定供給の確保,経済性の観点から,既設石油火力のLNG火力,石炭火力への転換,大容量LNG,石炭専焼火力の建設が積極的に行われ,エネルギー源の多様化が図られている。LNG火力は硫黄分を含まないクリーンなエネルギー源として,都市周辺に有利である特徴を持つ。また,最近では,ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせることにより,より高い熱効率が得られるコンバインドサイクル発電の建設が積極的に行われている。コンバインドサイクル発電は,比較的小型のガスタービンと蒸気タービンの複数構成となるため,起動停止に要する時間が短く,出力調整能力に優れているという特徴を併せ持つ。石炭火力は,石炭が石油に比べて偏在していないこと,資源量も豊富なことから,今後とも開発が続けられるであろうが,石炭のもつ環境問題や輸送面での欠点を克服すべく石炭ガス化等の技術開発も重要である。原子力発電は昭和40年代に入って出現したが,少量で莫大なエネルギー源となる核燃料の特性から準国産エネルギーとみなされ,CO2の発生もなく,また発電コストも安いこともあり,その後急速に拡大し,今後とも発電の中核的役割を担うこととなろう。水力発電は開発地点が中小規模化してきているが,国産エネルギーとして今後も着実に開発されよう。揚水式発電はピーク供給力として必要な適当量の開発が行われよう。このようにして将来の発電は原子力が主体となり,これにLNG,石炭,水力が加わり,石油は減少するものと思われる。
ガスタービン発電は火力発電の一種で数万kWまでのものがピーク負荷用や非常用として使われる。内燃機関発電はディーゼル発電の例のように非常用予備,離島,移動用などの分野で気軽に使用され,数千kW以下のものである。
風力発電は,風車によって発電機を回転させるもので,ほぼ実用化の域にあり,風状のよい場所から導入が進められている。
地熱発電は地下の高温蒸気を取り出し蒸気タービンを動かすもので,地熱の賦存地域に限られるが,火山国である日本では石油に代わるエネルギーとして開発が進められている。波力発電は小規模であるが,一部で実施されている。潮力発電はフランスで実用されているが日本にはない。太陽熱発電は技術開発されたものの日本では商業化にはいたらなかった。MHD発電,熱電子発電,熱電気発電,温度差発電などいずれも研究開発中か小規模特殊用途である。
電池は,ナトリウム-硫黄電池のように新型の電池の研究が行われている。小容量であるが,需要地近傍に分散配置できる利点があるので,電力貯蔵機能に期待している。燃料電池は燃料と酸化剤を連続的に供給することによって発電を継続できる直接発電装置であり,リン酸型燃料電池はビル等への分散配置用として,また,溶融炭酸塩型や固体電解質型はガスタービンと組み合わせた大規模電源用として研究が行われている。また太陽電池は半導体素子に太陽光をあてて直接電気をとりだす装置であり,電力用としては小規模のものが使われている。その他,小型なものでは電灯光でも作動する電卓等に用いられている。
→火力発電 →原子力発電 →水力発電 →電力
執筆者:竹之内 達也
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