温度差発電(読み)おんどさはつでん

精選版 日本国語大辞典 「温度差発電」の意味・読み・例文・類語

おんどさ‐はつでん ヲンドサ‥【温度差発電】

〘名〙 深海から汲み上げられた海水と、海面近くの海水との温度差による熱エネルギーを利用する発電

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デジタル大辞泉 「温度差発電」の意味・読み・例文・類語

おんどさ‐はつでん〔ヲンドサ‐〕【温度差発電】

温度差を利用した発電方式。高温部でアンモニアなどの低沸点媒体気化させてタービンを回して発電し、使用後のガスを低温部で冷やして液体に戻す。海表面と深海底の水の温度差や、70度以上の温泉と水の温度差などを利用する。前者海洋温度差発電OTEC)ともいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「温度差発電」の意味・わかりやすい解説

温度差発電 (おんどさはつでん)

海洋温度差発電のことをいう。海洋表層の温水(20℃以上)と深海の冷水(数℃くらい)との温度差を利用して行う発電。新しい発電方式の一つとしてアメリカ,フランス,日本などで開発中で,1979年8月にはハワイ島ケアホーレ岬沖で,深度650mの冷海水を取水し総出力50kWの実験に成功している。数百mから1000mくらいの深海の冷水を長大なパイプを通してポンプでくみ上げ,表層の温水で暖め蒸発させた作動流体を冷却する。このときの圧力差で作動流体が膨張しタービンを回転させる。原理的には火力発電水蒸気を作動流体としてタービンを回し発電機で発電するのと同じである。温度が低く温度差が20℃くらいと小さいので作動流体としてはアンモニアやフロンが用いられる。金属半導体に温度差を与えると電流が流れるゼーベック効果を利用する熱電気発電と組み合わせることも考えられる。発電した電力はケーブルで送電されるが,長距離の場合は困難もあるので離島への電力供給から実用に入るものと期待されている。
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知恵蔵mini 「温度差発電」の解説

温度差発電

熱エネルギーを電力に変える発電方法の一つ。二つの異なる金属の両方の接点に温度差を与えると電力が生まれるという、ゼーベック効果または熱伝導効果と呼ばれる性質を利用する。温度差を与えるものとして利用できる温熱源は各種の機器や乗り物から排出される人工的なものから、地熱や太陽熱など自然界のものまで様々なものが考えられる。一方の冷熱源には、空気や地下水、海水、雪などが利用できると期待されている。環境にダメージを与えうる人工的な排熱を有効活用したり、自然由来の温熱・冷熱源を利用したりする次世代の発電方法として期待されており、各地で様々な実験が行われている。国内最多の温泉源泉を有する大分県別府市では19年9月、温度差発電を利用してスマートフォンなどを充電できる「おんせん充電ステーション」の実証実験を市内の観光施設で開始した。源泉から得られる100度程度の湯と外気を発電ユニットに触れさせて発電する。

(2019-10-3)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「温度差発電」の意味・わかりやすい解説

温度差発電
おんどさはつでん

熱電発電」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の温度差発電の言及

【海洋開発】より

…日本では潮汐による落差は4.5m以下であり,装置が大型,高価となり経済的に引きあいにくいと思われる。温度差発電は,表層水温と数百m下の冷水温との差約20℃を利用してアンモニアまたはフロンの気化,凝結を繰り返してタービンを駆動しようとするものである。実海域での初期的な実験としては,アメリカのOTEC(Ocean Thermal Energy Conversion)計画,日本のナウル島における実験,徳之島における実験がある。…

※「温度差発電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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