瘤・癭(読み)こぶ

精選版 日本国語大辞典 「瘤・癭」の意味・読み・例文・類語

こぶ【瘤・癭】

〘名〙
① 病気のため、筋肉がこり固まって皮膚の一部がうずたかくなったもの。外傷性のもの、癌腫(がんしゅ)肉腫などの腫瘍(しゅよう)性のもの、先天性のものなどが含まれる。しいね。ふしべ。ふすべ。
今昔(1120頃か)一五「頸の下に癭有て、年来(としごろ)、〈略〉医(くすり)を以て療治すと云へども」
打撲によって頭などにできる皮膚の隆起の俗称。医学的には皮膚下の血管が破れてできた局部性の血腫(けっしゅ)を意味する。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)五「瘤(コブ)に成たる所へ唾を塗りつけ摩(さす)って居る」
樹木や物などの表面がうずたかくかたまりになったもの。
※米沢本沙石集(1283)二「藤の疣(コフ)を煎じてめせとぞ教へける」
④ ひも、なわなどのかたむすび、またはむすびめ。
⑤ (形動) 邪魔になるもの。妨げとなるもの。また、そのように妨げになるさま。厄介物。
※人情本・春色辰巳園(1833‐35)三「今さらおもへばお長といふこぶもあり」
※歌舞伎・処女評判善悪鏡(白浪五人女)(1865)四幕「言ひ兼ねえ男さ、それだから自分も瘤な事を言はれるのだ」
⑥ 身についた厄介なもの。特に、養育しなければならない子どもなど。「こぶつき」
※雑俳・俳諧觿‐二一(1813)「一夜の情一生の瘤」

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