疏水(読み)そすい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「疏水」の意味・わかりやすい解説

疏水
そすい

給水灌漑(かんがい)、舟運などのため、新しく土地を開いて設けた水路地形が急峻(きゅうしゅん)で平坦(へいたん)地の少ない日本には、欧米のような大運河はないが、古くから農業用の用排水路にはみるべきものがあった。1611年(慶長16)に角倉了以(すみのくらりょうい)が開削した京都の鴨川(かもがわ)と宇治川(うじがわ)を結ぶ高瀬川は、日本で最初の運河である。遠賀川(おんががわ)(福岡県)より分流し洞海(どうかい)湾に入る堀川は、洪水防御、舟運、灌漑を目的として江戸時代に開削された。日本最古の閘門(こうもん)とされる埼玉県の見沼通船堀(みぬまつうせんぼり)は、江戸への米の輸送を目的としていた。

[榧根 勇]


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