異・殊・事・別(読み)ことに

精選版 日本国語大辞典 「異・殊・事・別」の意味・読み・例文・類語

こと‐に【異・殊・事・別】

〘副〙 (形容動詞「ことなり(異)」の連用形から)
① 他のものとは違った有様で。常のあり方とは違って。…とは異なって。とりわけ。→こと(異)
万葉(8C後)七・一三一四「橡(つるばみ)の解き洗ひ衣のあやしくも殊(ことに)着ほしきこの夕へかも」
※枕(10C終)三「人のよろこびしてはしらする車の音、ことに聞えてをかし」
② 一つの事柄を、特にとり立てて。特に。格別に。
※宇津保(970‐999頃)楼上下「ことに例のやうにも見給はで、心にしみて琴(きん)を弾き給ふ」
③ 一つの事柄が、他の似た性質の事柄の上に、もう一つ加わって。加えて。その上。しかも。
四河入海(17C前)四「又御目にかかる事はあるまい。ことに老来である程にと思たれば」

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