由木浦(読み)ゆきのうら

日本歴史地名大系 「由木浦」の解説

由木浦
ゆきのうら

平安末期よりみえる湊津。元暦元年(一一八四)三月一五日の早朝、平維盛屋島やしま(現香川県高松市)を抜け出し、「阿波国結城の浦より小舟にのり、鳴戸浦をこぎとほり、紀伊路」に向かっている(「平家物語」巻一〇横笛)。これは都に戻るための渡海であり、船に巧みな従者を伴っていたが、この浦は「由木浦」とも記され(「源平盛衰記」巻三九)当地の可能性がある。康安元年(一三六一)六月一八日の巳刻から同一〇月に至るまで大地がおびただしく振動して、日々夜々止むことなく、「中ニモ阿波ノ雪ノ湊ト云浦ニハ、俄ニ太山ノ如ナル潮漲来テ、在家一千七百余宇、悉ク引塩ニ連テ海底ニ沈シカバ、家々ニ所有ノ僧俗・男女、牛馬・鶏犬、一モ不残底ノ藻屑ト成ニケリ」という有様であったという(「太平記」巻三六)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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