生臭・腥(読み)なまぐさい

精選版 日本国語大辞典 「生臭・腥」の意味・読み・例文・類語

なま‐ぐさ・い【生臭・腥】

〘形口〙 なまぐさ・し 〘形ク〙
① 生の魚や肉類においがある。また、血のにおいがある。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
※俳諧・曠野(1689)員外「花の比談義参もうらやまし〈越人〉 田にしをくふて腥きくち〈芭蕉〉」
② いやなにおいがある。気持の悪いにおいがある。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「唯だ虵(へび)の腥(ナマクサキ)ことを聞(か)ぐ」
※読本・雨月物語(1776)蛇性の婬「腥(ナマグサ)き風のさと吹きおくりきたるに」
③ 僧としての戒行を守らず堕落している。また、世俗的になっている。
※虎寛本狂言・宗論(室町末‐近世初)「法然とやらが生臭い珠数はいやじゃ」
④ なまいきである。しゃらくさい。
浄瑠璃・孕常盤(1710頃)二「尾鰭を附けてなまぐさい云分めさるれど、くだらぬくだらぬ」
⑤ うさんくさい。あやしげである。
※浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松(1718)上「葉屋の彦介といふ男見て置け。なまぐさい男呼ばり、置け置け、置いてくれ」
⑥ 現実的な欲望利害などがからんでいる。
司令休暇(1970)〈阿部昭〉四「老いても生臭い女の怨念が」
なまぐさ‐さ
〘名〙

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