甜茶(読み)テンチャ

デジタル大辞泉 「甜茶」の意味・読み・例文・類語

てん‐ちゃ【×甜茶】

中国雲南省に産するバラ科などの低木の葉を煎じた飲料甘味があり、ポリフェノールを多く含む。

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百科事典マイペディア 「甜茶」の意味・わかりやすい解説

甜茶【てんちゃ】

中国南部の広西チワン族自治区の山岳地帯に自生する,バラ科の植物の葉を煮出した甘みのある茶。中国では古くから旧正月に1年の幸せを願って飲まれてきた。現在でも〈開胃茶〉と呼ばれ,食欲増進や咳止め解熱に効果のある健康飲料として親しまれているという。日本では1994年日本アレルギー学会で,三重大学耳鼻咽喉(いんこう)科の鵜飼幸太郎教授らのグループが,鼻アレルギー花粉症に有効な作用をもつGODポリフェノールを含んでいることを発表。〈花粉症に効果がある〉とテレビや雑誌で取り上げられたことから脚光を浴びるようになった。 ティーバッグや紙パック飲料水,キャンディなど,さまざまな甜茶入り商品が販売されている。しかし,東京農林水産消費技術センターが飲料商品について調べたところ,これらの中にはGODポリフェノールがほとんど含まれていないものがあることがわかった。効果を期待して商品を選別するには,成分表示を確認して,GODポリフェノールが含まれているものを選ぶことが大切である。→アレルギー性疾患

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食の医学館 「甜茶」の解説

てんちゃ【甜茶】

《栄養と働き&調理のポイント》


 中国では、甘みのあるお茶全般を甜茶(てんちゃ)と呼んでいます。なかでも、中国南部を原産とするバラ科の植物、「甜葉懸鈎子」からつくられたものが、「甜茶」です。
○栄養成分としての働き
 甜茶には、カリウムカルシウム、鉄、マグネシウム亜鉛(あえん)などのミネラルのほか、「甜茶ポリフェノール」と呼ばれる成分や、特有の甘みのもととなるルブソシドなどが含まれているといわれています。
 とくに最近注目を集めているのが、花粉症、アレルギー性鼻炎を緩和する作用です。
 含有成分の甜茶ポリフェノールが免疫細胞に働きかけて、症状のもとであるヒスタミンなどの放出量を減少させるので、花粉症の人は、花粉の飛ぶ時期の約1か月前から甜茶を飲みはじめると、より効果的とされます。
 ほかにも、甜茶は糖尿病や高血圧に効果があるといわれます。
 また、ルブソシドは砂糖の70倍以上の甘みをもちますが、ほぼノンカロリーなのでダイエット中の人にも安心です。
○漢方的な働き
 中国において甜茶は、熱やせき、たんなど、かぜの症状を抑える飲みものとして愛用されています。
 甜茶をつくる場合は、小さじ1杯程度の茶葉を、300mlの熱湯で、2~3分煮出すのを目安にしてください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「甜茶」の意味・わかりやすい解説

甜茶
てんちゃ

中国では旧正月や慶事の際に好んで飲まれる甘みのある茶。原料となる茶葉は地域によって,ユキノシタ科,アカネ科,ブナ科,バラ科など各種あり,それぞれの効能も異なる。なかでも中国南部桂林の奥地,標高 500~1200mの山岳地帯に自生するバラ科キイチゴ属の甜茶懸鉤子でつくった甜茶はコワンシー (広西) チワン (壮) 族自治区の人々によって,これまでも嗜好品としてばかりでなく,健康維持のために愛飲されてきた。 1994年このバラ科の甜茶の成分を分析した三重大学の鵜飼幸太郎らのグループは,タンニンの1種である GODポリフェノールが含まれていることを発見,日本アレルギー学会で発表した。花粉症のようなアレルギー反応は肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が遊離され,鼻水,くしゃみ,鼻づまりといった症状を引起すと考えられているが,この GODポリフェノールが,ヒスタミンなどの放出を阻止する働きがあることから,バラ科キイチゴ属の甜茶は,花粉症に有効であると注目されている。

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