精選版 日本国語大辞典「放出」の解説
ほうり‐だ・す はふり‥【放出】
〘他サ五(四)〙
① 物などを投げて外へ出す。また、乱暴に外へ出す。
※浄瑠璃・源平布引滝(1749)三「網よりもほふり出したは女の片腕」
② 手に持った物などを目の前のような近くへ投げる。また、投げるようにして置く。むぞうさに置く。乱暴につき出す。
※咄本・無事志有意(1798)玉手筥「けつまづきて、玉手筥をほうり出し」
③ 仕事などをあきらめて途中でやめる。投げ出す。
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「其時になったらば如何(どう)にかなるだらうで、抛出(ハフリダ)してあるので」
④ 人をすげなく仲間や仕事から除外する。むりにやめさせる。また、世話しないで追い出す。
※卍(1928‐30)〈谷崎潤一郎〉二四「きっとあてを道具に使て結婚さいしてしもたら〈略〉放り出すつもりやってんなあ」
ほう‐しゅつ ハウ‥【放出】
〘名〙
① ふき出すこと。あふれ出ること。
※日本風景論(1894)〈志賀重昂〉四「風穴〈略〉、溶岩中の水蒸気の放出に因りて生出す」
② 国や軍や団体がたくわえているものを、一般に提供すること。持っているものを手放すこと。
※自由学校(1950)〈獅子文六〉自由を求めて「放出のギャバ生地」
はなち‐いで【放出】
〘名〙 建具を取り払うこと、あるいは取り払った部屋。また、寝殿造で寝殿または対屋から張り出してつくられた部屋。はなちで。はなちでづくり。
※九暦‐九暦抄・天徳元年(957)四月二二日「放出事、未刻依垣下等催着座、其座在母屋故出三間之中間、王卿座在東庇南東辺、北西面」
ひり‐だ・す【放出】
〘他サ五(四)〙 体外へ出す。内部のものを外へ出す。排泄する。
※滑稽本・風来六部集(1780)放屁論後編「出まかせに放出(ヒリダ)して、此書の序とはなりけらしブッツ」
ほかし‐だ・す【放出】
〘他サ五(四)〙 ほうり出す。投げ出す。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)二「二朱でも四百でも放下(ホカ)し出しゃア直(ぢき)さま枕添(まくらぞひ)が出来る」
ほり‐だ・す【放出】
〘他サ四〙 「ほうりだす(放出)」の変化した語。
※歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)上「『状を出し給へ』『是見よ』と、ほり出せば」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報