玉梓・玉章(読み)たまずさ

精選版 日本国語大辞典 「玉梓・玉章」の意味・読み・例文・類語

たま‐ずさ ‥づさ【玉梓・玉章】

〘名〙 (「たまあずさ」の変化した語)
① 便りを運ぶ使者の持つ梓(あずさ)の杖。転じて、その杖を持つ人。使者。
万葉(8C後)三・四二〇「こもりくの 泊瀬の山に 神さびに いつきいますと 玉梓(たまづさ)の 人そ言ひつる」
② (転じて) 手紙。書簡。便り。文章。ぎょくしょう。
古今(905‐914)秋上・二〇七「秋風にはつかりがねぞきこゆなるたがたまづさをかけてきつらん〈紀友則〉」
※太平記(14C後)四「書置きし君が玉章(タマヅサ)身に副へて」
③ 手紙の真中を捻(ひね)り結んだもの。多く恋文にいう。
※評判記・役者二挺三味線(1702)江戸「日比秘蔵の猫の首玉に、こがるるとの玉章(タマヅサ)をむすび付おこしけるを」
④ (形が結び文に似ているところから) カラスウリ種子。〔料理物語(1643)〕
⑤ (④から転じて) 植物「からすうり(烏瓜)」の異名。《季・秋》 〔俳諧・増山の井(1663)〕
[補注]①については梓(あずさ)の美称とする説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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