玉林苑(読み)ぎょくりんえん

改訂新版 世界大百科事典 「玉林苑」の意味・わかりやすい解説

玉林苑 (ぎょくりんえん)

歌謡集。早歌(そうが)第八の撰集。1319年(元応1)成立(1318とも)。2巻2冊。20曲所収。うち10曲は月江(げつこう)(明空(みようくう)の晩年の名と考えられる)作詞で,作曲は5曲。ほかに比企助員など武家作曲者の作が多い。《拾菓集》《拾菓抄》《別紙追加曲》と進み,この集で161曲の撰集が終了,早歌の後期特色が顕著である。内容は《鶴岡霊威》などの寺社物が約半数をしめ,《蒙山謡(もうざんのうた)》《寝覚恋(ねざめのこい)》《余波(なごり)》など題材・曲趣の点で注目すべき曲を含む。
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世界大百科事典(旧版)内の玉林苑の言及

【月江】より

…生没年不詳。早歌の撰集16巻のうちの《拾菓抄》《別紙追加曲》,《玉林苑》上・下の撰者とも考えられる。経歴等は不明だが,竹柏園本《撰要目録》に〈文保二年(1318)二月之比記之卒 桑門月江〉,尊経閣文庫蔵《異説秘抄口伝巻》に〈文保三年三月上旬之比撰調之 桑門月江〉の識語がみえる。…

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