猪自物・鹿自物(読み)ししじもの

精選版 日本国語大辞典 「猪自物・鹿自物」の意味・読み・例文・類語

しし‐じもの【猪自物・鹿自物】

〘名〙 (「じもの」は「…のようなもの」の意の接尾語。副詞的に用いる) 猪または鹿のよう(に)。
書紀(720)武烈即位前・歌謡「青丹よし 奈良の峡(はさま)に 斯斯弐暮能(シシジモノ) 水漬(みづ)く辺(へ)(ごもり)
万葉(8C後)二・一九九「使はしし 御門(みかど)の人も 〈略〉赤ねさす 日のことごと 鹿自物(ししジもの) い這ひ伏しつつ」
※万葉(8C後)六・一〇一九「馬じもの 縄取りつけ 肉自物(ししジもの) 弓矢囲(かく)みて 大君の 命(みこと)(かし)こみ 天ざかる 鄙辺(ひなへ)にまかる」
[補注]この語を枕詞として、「水漬(みづ)く」「辺ごもり」「い這ひ」「膝折り伏せ」などにかかるとする説もある。

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