無手勝流（読み）ムテカツリュウ

デジタル大辞泉

むてかつ‐りゅう〔‐リウ〕【無手勝流】

《剣豪の塚原卜伝つかはらぼくでんが、渡し船の中で真剣勝負を挑まれた時、州すに相手を先に上がらせ、自分はそのまま竿を突いて船を出し、「戦わずして勝つ、これが無手勝流」と、その血気を戒めたという故事から》
１ 卜伝流の異称。
２ 戦わずに勝つこと。力によらず策によって勝つこと。
３ 自分勝手なやり方。自己流。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

むてかつ‐りゅう ‥リウ【無手勝流】

〘名〙 (剣豪といわれた塚原卜伝が、渡し船の中で真剣の勝負をいどまれた時、相手を先に州の上に上がらせ、自分は船中にあって竿で船を突き離し、「戦わずして勝つ、これが無手勝流だ」と言って、その血気を戒めたという故事から)

① 卜伝流(ぼくでんりゅう)の異称。

※本朝武芸小伝（1716）五「土佐の卜伝と云ものあり、兵法を一派立て無手勝流と号す」

② 戦わないで相手に勝つこと。力でなく策によって勝つこと。また、その方法。

※安城家の兄弟（1931）〈里見弴〉その前夜「実戦での勝負は別として、流儀はともかく無手勝流だった」

③ 自分勝手な方法。師伝などによらない自己流のやり方。

※鉛筆ぐらし（1951）〈扇谷正造〉インタヴィュー芸談「中年記者のフリーハンド（無手勝流）のインタヴィューとを」

出典　精選版 日本国語大辞典

四字熟語を知る辞典

無手勝流

戦わずに勝つこと。力によらず策によって勝つこと。また、自分勝手なやり方。自己流。

[使用例] 実戦での勝負は別として、流儀はともかく無手勝流だった［里見弴＊安城家の兄弟｜1931］

[使用例] 「僕は無手勝流さ。よし、国文にする」と、昌造は急に居直ったような顔をした［尾崎一雄＊懶い春｜1949］

[解説] 剣豪といわれた塚つか原はら卜ぼく伝でんが、渡し船の中で真剣の勝負をいどまれた時、相手を先に州の上に上がらせ、自分は船中にあって竿で船を突き離し、「戦わずして勝つ、これが無手勝流だ」と言って、その血気を戒めたという故事から出た語。

出典　四字熟語を知る辞典