湯前(読み)ゆのまえ

改訂新版 世界大百科事典 「湯前」の意味・わかりやすい解説

湯前[町] (ゆのまえ)

熊本県南東部,球磨(くま)郡の町。人口4375(2010)。東は宮崎県に接し,北西境沿いを球磨川が南西流する。西部人吉盆地の最東端にあたる平地で,1705年(宝永2)人吉藩士高橋政重が開削した幸野溝(こうのみぞ)によって灌漑される。中心集落の湯前は谷口集落で,林産物集散地として発達した。1924年人吉からの国鉄湯前線(現,くま川鉄道)が開通してその終点となり,35年には宮崎へ抜ける国道219号線が通じた。米のほか畜産,タバコ,メロン,果樹などの栽培が行われ,良質の杉,ヒノキを産する。製材工場球磨焼酎の酒造場がある。湯前駅近くにある貞応年間(1222-24)創建の明導寺の阿弥陀堂は県下最古の木造建造物で,堂内の阿弥陀三尊,境内の七重石塔,九重石塔は重要文化財に指定されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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