清見関・清見潟(読み)きよみのせき・きよみがた

日本歴史地名大系 「清見関・清見潟」の解説

清見関・清見潟
きよみのせき・きよみがた

現清水市の清見せいけん寺付近にあった古代の関所およびその前に広がる海岸。関所がなくなって以降も東海道の景勝地として和歌に詠まれ、名所として訪れる人が多く、各種の紀行文や歌集に多く現れる。和銅元年(七〇八)上野国国司として赴任する途中の田口益人は浄見きよみ崎に至り、「廬原の清見の崎の三保の浦の寛けき見つつもの思ひもなし」と詠んでいる(「万葉集」巻三)。天慶三年(九四〇)平将門の乱を鎮めるため征討大将軍に任命されて東国へ下る平忠文はその途中清見関に宿泊したという(江談抄)。天暦一〇年(九五六)六月二一日の駿河国司解(朝野群載)に「清見・横走両関」とみえ、両関があっても武装しなければ防備はできないと訴えている。清少納言逢坂おうさか関など著名な関とともに、横走よこばしり(現御殿場市)と並んで「清見が関」をあげている(枕草子)。寛仁四年(一〇二〇)九月、父の上総国司の任期満了に伴い一緒に帰京する菅原孝標の娘は、「清見が関は、片つ方は海なるに、関屋どもあまたありて、海までくぎぬきしたり」と記している(更級日記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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