津幡宿(読み)つばたしゆく

日本歴史地名大系 「津幡宿」の解説

津幡宿
つばたしゆく

[現在地名]津幡町津幡・清水・庄・加賀爪

北陸街道と能登街道の分岐点にあった宿駅。津幡駅とも称された。南の金沢町まで約三里二五町余、東の竹橋たけのはし宿まで三〇町(「加越能三州道程記」加越能文庫)。能登街道の次の宿駅は高松たかまつ宿(現高松町)であった。当地から南の金沢へ向かう北陸街道は金沢往来、津幡川右岸を東へ向かう北陸街道は越中往来、西へ向かう能登街道は能登往来ともよばれた。近世末期の津幡駅町見取図(金沢市立図書館蔵)および津幡宿図(県立歴史博物館蔵)には越中往来沿いの津幡村、能登往来沿いのしよう村、両村の中間の清水しみず村、金沢往来沿いの加賀爪かがつめ村の四ヵ村がT字形に軒続きの集落として描かれている。津幡四町と総称され、「改作所旧記」によれば、慶長四年(一五九九)に四ヵ村が寄合っていたという。なお当地は越中との国境にも近く、源平合戦のときにも軍勢が通過するなど(源平盛衰記)、古くから交通・軍事上の要衝であった。天正一一年(一五八三)前田利家は当地を重視し、金沢入部と同時に弟の秀継を津幡城に同一三年まで配置、以後津幡奉行を置いた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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