油川村(読み)あぶらかわむら

日本歴史地名大系 「油川村」の解説

油川村
あぶらかわむら

[現在地名]青森市油川

東は陸奥湾に面し、東南は新田にいた村、西は羽白はじろ村・岡町おかまち村、西北十三森じゆうさんもり村に接する。

油川を含む外ヶ浜上磯そとがはまかみいそ地域は鎌倉時代から戦国期にかけて、日本海航路の終点の港として栄え、近江や北陸出身の商人たちが移住した。なかでも津軽平野を後背地にもつ油川は、陸奥湾の中心港として大浜おおはまの名で知られ、多くの寺社も勧請された。「津軽一統志」によれば、真宗大谷派法源ほうげん(現弘前市)は文明一三年(一四八一)、同円明えんみよう(現弘前市)は明応八年(一四九九)に油川で開かれ、十二所権現じゆうにしよごんげん(現熊野宮)は永禄二年(一五五九)油川で再興されたとある。天文年間(一五三二―五五)津軽郡中名字に「油川」とある。戦国時代末期には南部氏の一族奥瀬氏が代官として現西田沢にしたざわにある油川城にいたが、天正一三年(一五八五)大浦(津軽)為信の攻略により、奥瀬善九郎は南部へ逃げた(永禄日記、津軽一統志)。津軽氏は津軽統一後、古い勢力一掃のためにそれまでの海上交通の要地である油川を活用せず、青森開港を選び、青森に援助を与え、油川に制限を加えた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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