油山(読み)あぶらやま

日本歴史地名大系 「油山」の解説

油山
あぶらやま

西油山地区の南東、南区との境にある。標高五九七メートル。北寄りの南区・城南区・早良区の境には標高五六九・四メートルの峰がある。油山の名は聖武天皇の時代にこの山に住む法持僧清賀が胡麻油を多く作り、怡土いと郡の勅願五ヵ寺に灯油として送っていたことに由来すると伝える(続風土記)。天永三年(一一一二)二月一三日願主定原という銘のある経筒、保安元年(一一二〇)とみられる八月二五日の紀年銘があり、僧慶実を勧進、宗形信貞ならびに津氏を檀越として納められた経筒が油山一帯から出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「油山」の意味・わかりやすい解説

油山
あぶらやま

福岡市南部、南区と早良区(さわらく)の境にある山。脊振山地(せふりさんち)の北に続く小起伏山地を形成し、おもに花崗(かこう)岩からなる。標高597メートル。地名は、奈良時代中期ここに正覚寺(しょうかくじ)(国指定重要文化財の聖観音像がある)を開山した清賀(せいが)上人ツバキの実から油をつくったという故事に由来する。付近一帯は、1967年(昭和42)福岡市により「市民の森」として開発された。植樹園をはじめ野鳥の森、キャンプ場、青年の家、油山牧場(もーもーらんど)などが設けられ、夫婦(めおと)岩展望台からの福岡市街地、博多(はかた)湾の眺望がよい。

[石黒正紀]

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