母様(読み)かあさん

精選版 日本国語大辞典 「母様」の意味・読み・例文・類語

かあ‐さん【母様】

〘名〙 (「かかさん」の変化した語)
① 「かあさま」よりいくらかくだけたいい方。
人情本・柳之横櫛(1853頃)五「サァ坊や、お前のお腰の守袋(おまんぶ)を母(カ)ァさんに一寸お見せ」
料理屋芸者屋などの女主人に対して、世話になっている者が呼ぶ語。
※晴れたり君よ(1924)〈宇野浩二〉「千万のかあさんといふのは〈略〉私もしたしくしてゐるところのある茶屋のお上(かみ)なのである」

かあ‐さま【母様】

〘名〙 (「かかさま」の変化した語) 母親を敬い親しんで呼ぶ語。おもに子供が用いるが、子供に向かっておとなが、その子の立場に立って使う場合もある。
小公子(1890‐92)〈若松賤子訳〉前「『かあさま、とうさまは、もう、よくなって?』と、セドリックが云ましたら」

はは‐さん【母様】

〘名〙 (「ははさま(母様)」の変化した語。「はわさん」の時代も) 子が母親を敬い親しんで呼ぶ語。
物類称呼(1775)一「母 はは 〈略〉京にて児童は、ハワサンと呼び」

はは‐さま【母様】

〘名〙 (「さま」は接尾語。「はわさま」の時代も) 母を敬って呼ぶ語。
浄瑠璃・当麻中将姫(1714頃)二「今ははさまの我をうとませたまふこと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「母様」の意味・読み・例文・類語

かか‐さま【母様】

子供が自分の母を親しみ敬って呼ぶ語。おかあさま。⇔父様ととさま
父様とっさま一つにゐてくだされ。拝みまする。―」〈浄・丹波与作

かあ‐さま【母様】

《「かかさま」の音変化》母を敬い親しんで呼ぶ語。⇔父様とうさま

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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