死馬の骨を買う(読み)しばのほねをかう

故事成語を知る辞典 「死馬の骨を買う」の解説

死馬の骨を買う

すぐれたものを手に入れるために、つまらないものでも優遇することのたとえ。また、人材を求めるのに熱心なことのたとえ。

[使用例] 骨董を買う以上は贋物を買うまいなんぞというその様なケチな事で何様どうなるものか、古人も死馬の骨を千金で買うとさえ云ってあるでは無いか[幸田露伴*骨董|1926]

[由来] 「戦国策えん策」に見えるエピソードから。紀元前四世紀の終わり、中国の戦国時代のこと。滅亡寸前まで追い詰められた燕という国では、新しく即位した王が、国の復興のために優秀な人材を探し求めていました。そこで、補佐役のかくかいは、自分を売り込むためにこんな話をしました。「昔、ある王が、一日に千里を駆ける名馬を手に入れたくて、家来に一〇〇〇金もの大金を持たせて、探しに出しました。ところが、その家来は、死んだ馬の骨を五〇〇金で買って、帰って来たのです。激怒する王に対して、その家来は、『死んだ馬の骨にさえ五〇〇金を投じたといううわさを聞いて、生きた名馬を売り込みに来るものが、必ず現れますよ』と言い放ちます。はたして一年も経たないうちに、とびきりの名馬が三頭も集まったそうです。今、王が優秀な人材を求めていらっしゃるのであれば、まずは私を優遇することから始めてはいかがでしょうか」。王がその通りにすると、優秀な人材が次々に集まり、燕はみごとに復興を遂げたということです。

[解説] このときに郭隗が発した「まず隗より始めよということばも、故事成語になっています。

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