止・已・罷(読み)やむ

精選版 日本国語大辞典 「止・已・罷」の意味・読み・例文・類語

や・む【止・已・罷】

[1] 〘自マ五(四)〙
① 続いていた自然現象の動きが消えてなくなる。風波、雨、雪などがおさまる。
万葉(8C後)一〇・一九三二「春雨の止(やま)ず降る降る吾が恋ふる人目をすらにあひ見せなくに」
方丈記(1212)「かく、おびたたしく振る事は、しばしにてやみにしかども」
物事が途中で行なわれなくなる。続いてきたある状態がとだえる。
※万葉(8C後)二〇・四三〇三「わが背子が屋戸の山吹咲きてあらば也麻(ヤマ)ず通はむいやとしのはに」
※枕(10C終)一五〇「ものいはぬちごの泣き入りて、乳も飲まず、乳母のいだくにもやまで久しき」
③ 事をしないでおく。
※古事記(712)中・歌謡「みつみつし 久米の子らが 粟生には 臭韮(かみら)一本 其ねが本 其根芽つなぎて 撃ちてし夜麻(ヤマ)む」
更級日記(1059頃)「京にとどめて、ながき別れにてやみぬべきなり」
④ 物事にきまりがつく。事が終わりになる。
平家(13C前)七「朝廷の騒動やむ時なし」
⑤ 高まった気持や、病気などがおさまる。
※万葉(8C後)一五・三六〇五「わたつみの海に出でたる飾磨川絶えむ日にこそ吾が恋夜麻(ヤマ)め」
※平家(13C前)三「法皇御憤いまだやまず」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒やめる(止)

やめ【止・已・罷】

〘名〙 (動詞「やめる(止)」の連用形名詞化) 続いてきた物事や、しようとしていた物事を中止すること。
※虎寛本狂言・文山立(室町末‐近世初)「何と死る事を止(ヤメ)にせうでは有るまいか」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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