橘外男(読み)タチバナソトオ

デジタル大辞泉 「橘外男」の意味・読み・例文・類語

たちばな‐そとお〔‐そとを〕【橘外男】

[1894~1959]小説家石川の生まれ。中学退学、服役など波瀾万丈はらんばんじょうの若年期を経た後に作家となる。エキゾチックな題材を扱った、猟奇的な幻想小説を多く発表。「ナリン殿下への回想」で直木賞受賞。他に「陰獣トリステサ」「ある小説家の思い出」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「橘外男」の意味・わかりやすい解説

橘外男
たちばなそとお
(1894―1959)

小説家。石川県生まれ。彼の前半生は自伝『ある小説家の思ひ出』(1957~59)に詳しいが、軍人の父に厳しく育てられたものの、中学を退学し、21歳のとき罪を犯して服役。のち種々の職業に従事しながら小説の筆をとり、有島武郎(たけお)の序文をもつ長編『太陽の沈みゆく時』(1922~23)などを刊行、1938年(昭和13)に『ナリン殿下への回想』で第7回直木賞を受賞した。異国趣味と猟奇的傾向をもつ特異な語り口で知られ、戦後の代表作に『陰獣トリステサ』(1948)、『青白き裸女群像』(1950)などがある。

[宗像和重]

『『ある小説家の思い出』上下(中公文庫)』『『橘外男傑作選』三冊(社会思想社・現代教養文庫)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「橘外男」の解説

橘外男 たちばな-そとお

1894-1959 大正-昭和時代の小説家。
明治27年10月10日生まれ。中学を退学し,21歳のとき罪をおかして服役。その後種々の職につきながら小説を執筆,昭和13年「ナリン殿下への回想」で直木賞。戦後は怪奇幻想小説をおおく発表した。昭和34年7月6日死去。64歳。石川県出身。作品ほかに「陰獣トリステサ」「ある小説家の思い出」など。

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