樟・楠(読み)くすのき

精選版 日本国語大辞典 「樟・楠」の意味・読み・例文・類語

くす‐の‐き【樟・楠】

〘名〙 クスノキ科の常緑大高木。本州の関東以西、四国、九州の山地に生え、防風林庭木、記念樹などとして栽植される。しばしば大樹となり、幹の高さ約二〇メートル、径は一メートル以上にもなる。全体に芳香がある。葉は互生し、革質で表面光沢があり、長さ七~一〇センチメートルになる卵形で、三本の脈が目立つ。五月頃、葉腋(ようえき)から長い花柄を出し、白黄色の小さな鐘形花を円錐状につける。晩秋、径約八ミリメートルの暗紫色の果実を結ぶ。幹、根、葉から樟脳(しょうのう)をとる。材は虫害に強いので建築、船舶、家具材などに用い、また、什器(じゅうき)、楽器にも用いる。漢名、樟。くす。
豊後風土記(732‐739頃)球珠「此の村に洪(おほ)き樟(くす)の樹(き)ありき」
※俳諧・曠野(1689)三「楠も動くやう也蝉の声〈昌碧〉」

くす【樟・楠】

書紀(720)神代上(兼方本訓)「眉の毛は是れ櫲樟(クス)に成る。〈略〉杉(すきのき)、及、櫲樟(クス)、此の両つの樹は、以て浮宝(うくたから)と為(す)べし」

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