楕円型方程式(読み)だえんがたほうていしき(英語表記)elliptic equation

改訂新版 世界大百科事典 「楕円型方程式」の意味・わかりやすい解説

楕円型方程式 (だえんがたほうていしき)
elliptic equation

偏微分方程式の一つ。楕円型方程式の基本的な形は,

 Δu=-f

 (Δ=∂2/∂x12+……+∂2/∂xn2) ……(1) 

と書かれる。ここでuが未知関数fは既知関数である。方程式(1)はポアソンの方程式とも呼ばれる。n次元空間Rnの中の2点xyの距離をrxy)と書き,またRnの中の半径1の球面の表面積をωn(例えばω3=4π,ω4=4π2,ω5=4/3π2,……)と書くことにして,

と定義する。(1)の右辺の関数fx)が連続な1階偏導関数をもち,ある有界領域Dの外部では恒等的に0となるならば,関数,

は(1)の解である。ここでdyn次元の体積要素dy1……dynを表す。(2)の関数uに,

 Δv=0 ……(3) 

を満たす関数vを加えたものも,やはり方程式(1)の解である。方程式(3)はラプラス方程式と呼ばれる。ふつうこのような問題は,与えられた領域Ω内部で考察され,(3)の解はΩ境界上でのvの値(それを境界値という)を与えることによって定まる。例えばΩが平面上の単位円板の場合,その中の点を極座標r,θ)で表し,Ωの境界(すなわち単位円周)上でのvの境界値v(1,φ)が与えられたとすると,(3)の解は,

で与えられる。この右辺の積分ポアソン積分という。Ωが三次元空間の原点Oを中心とする単位球であるとき,Ωの内部の点xΩの境界(すなわち単位球面)上の点yに対して,ベクトルとのなす角をγxyと書き,の長さをrxと書くことにすると,球面上の境界値vy)をとる(3)の解は,

で与えられる。ここでSは単位球面,dSyはその上での面積要素を表す。
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世界大百科事典(旧版)内の楕円型方程式の言及

【偏微分方程式】より

… (4)においてfが変数tを含まない場合で,温度が平衡状態にあるとき,すなわちuが時間とともに変化しないときは,∂u/∂t=0であるから,(1/c)f(x)をあらためてf(x)と書けば,(4)は, Δu=-fとなる。この形の方程式を楕円型方程式,またはポアソンの方程式という。とくにf≡0の場合の方程式Δu=0は,ラプラスの方程式と呼ばれる。…

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