椚田遺跡(読み)くぬぎだいせき

日本歴史地名大系 「椚田遺跡」の解説

椚田遺跡
くぬぎだいせき

[現在地名]八王子市椚田町

八王子盆地南縁丘陵の一つ小比企こびき丘陵の一支脈の台地(子安丘陵)上にあり、南側は湯殿ゆどの川に臨む。縄文時代中期の集落跡。国指定史跡。昭和五〇年(一九七五)この台地の約七七ヘクタールが土地区画整理の対象となり、事前調査の結果五ヵ所の遺跡が発見された。これを椚田遺跡群と総称し、うち第III遺跡を椚田遺跡とする。当遺跡は約二万平方メートルほどの広がりをもつが、うち北西部四分の一が調査されている。検出された遺構は、縄文中期中葉から後半の住居跡約五〇軒・敷石住居跡一軒、古墳時代後期の住居跡四軒などで、縄文時代の土坑・集石なども多数存在する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「椚田遺跡」の解説

くぬぎだいせき【椚田遺跡】


東京都八王子市椚田町にある縄文時代から古墳時代の集落跡。八王子盆地の南を囲む小比企(こびき)丘陵の支脈上にあり、1975年(昭和50)の発掘調査で、遺跡の全面に3層の生活面が確認された。最上位面は古墳時代の集落で、中位面は縄文時代中期末葉、最下位面は縄文時代中期中葉に属する集落であることが判明。1978年(昭和53)に国の史跡に指定された。発掘の範囲は遺跡の約6分の1にすぎないが、縄文時代中期中葉の竪穴(たてあな)住居跡45棟が発見されており、全体では270以上の存在が予想されている。それらの住居跡は径約150mの環状に展開する集落形態を示すもので、環状の内側に土坑群をもつ集落跡はきわめて例が少ないことから、内側が広場をなす一般の集落跡に対して、より広範な地域圏内における中心的な性格を帯びた集落とも考えられている。当時の集落相互の関係や縄文時代の社会を解明するうえで重要な遺跡とされている。JR中央本線西八王子駅、または京王電鉄京王線めじろ台駅から京王バス「椚田北」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報