梶の葉(読み)カジノハ

デジタル大辞泉 「梶の葉」の意味・読み・例文・類語

かじ‐の‐は〔かぢ‐〕【×梶の葉】

カジノキの葉。昔、七夕祭りに、歌などをこの葉7枚に書いて手向ける風習があった。 秋》「―を朗詠集のしをりかな/蕪村
天の川と渡る舟の―に思ふことをも書き付くるかな」〈後拾遺・秋上〉
文様の名。また、紋所の名。1をかたどったもので、種類が多い。

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精選版 日本国語大辞典 「梶の葉」の意味・読み・例文・類語

かじ【梶】 の 葉(は)

① カジノキの葉。古く、七夕祭のとき、七枚の梶の葉に詩歌などを書いて供え、芸能の向上や恋の思いが遂げられることなどを祈る風習があった。梶の七葉。《季・秋》
※後拾遺(1086)秋上・二四二「天の河とわたる舟のかぢのはに思ふことをも書きつくるかな〈上総乳母〉」
② カジノキをかたどった衣服の模様の名。
※鎌倉殿中以下年中行事(1454か)七月朔日「御祝如例。〈略〉公方様御単物、御紋梶の葉也」
③ 植物「こうぞ(楮)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
④ 紋所の名。平戸梶の葉、三つ梶の葉、丸に梶の葉、鬼梶の葉、梶の葉桐、変り三つ割梶、抱き梶の葉、立梶の葉、花梶、三つ寄せ梶、割梶の葉など各種ある。
吾妻鏡‐治承四年(1180)九月一〇日「著梶葉文直垂、駕葦毛馬之勇士一騎」
太平記(14C後)三一「麓には白旗中黒・栟櫚葉(しゅろのは)、梶葉(カヂのハ)の紋書きたる旗共」

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