日本大百科全書(ニッポニカ) 「栄養診断(人間)」の意味・わかりやすい解説
栄養診断(人間)
えいようしんだん
栄養ケアプロセス(NCP:Nutrition Care Process)の1段階として、対象者の栄養状態を診断すること。栄養ケアプロセスは、栄養管理における栄養状態の評価・判定の国際的に標準化された基準、ならびに栄養ケア提供の手法で、栄養アセスメント、栄養診断、栄養介入、栄養モニタリングおよび評価の4段階による栄養管理の手順が示されている。このうち栄養診断においては、患者やクライアントの栄養状態や栄養にかかわる問題および原因を把握する栄養アセスメントをもとに、栄養状態を診断して栄養上の改善すべき課題を明らかにし、次の栄養介入の段階につなげていく。
栄養診断では、NI(Nutrition Intake、摂取量)、NC(Nutrition Clinical、臨床栄養)、NB(Nutrition Behavioral/Environmental、行動と生活環境)の3領域70項目からなる国際標準化された栄養診断のコードのなかから、該当するものを選んで記載する。NIとは、経口や静脈栄養によって摂取するエネルギー・栄養素・水分・生物活性物質にかかわる問題を意味し、NCは、栄養代謝や身体状況にかかわる栄養の所見および問題、NBは、身体活動不足やセルフケア不足といった対象者の行動様式や信念および知識、生活環境、あるいは食の安全などにかかわる栄養の所見および問題を意味する。
また栄養診断は、「PES報告書」とよばれる簡潔な文章で記載する。PES(Problem Related to Etiology as Evidenced by Signs and Symptoms)とは、S(Signs and Symptoms、症状や徴候)を示す根拠に基づき、そのE(Etiology、原因)に関連したP(Problem、問題)を明らかにして、栄養状態を診断するという意味である。日本栄養士会では、さらに具体的で詳細な記載方法を提示している。
[編集部 2017年3月21日]