信念
しんねん
belief
日常会話において「信念の人」とか「あの人は信念がない」といったように使われるとおり、ある事柄についてもたれる確固として動揺しない認識ないし考えをいう。心理学では、個人が接触している世界のある側面に対する感情、知覚、認識、評価、動機、行動傾向などの心理作用の総合的で持続的な構えを「態度」という概念で考えるが、信念はその認知的要素の部分ないし側面を形成しているといえよう。知覚や認識は、いろいろな経験の構造化、再構造化に基づくものであるから、その持続的に安定した産物である信念もまた構造化されており、信念の対象である事物や存在の種々な側面についての認知が首尾一貫して組み込まれている。したがって、これに矛盾する情報や経験に対しては、強い反発や抵抗を示すことがある。客観的な裏づけがなく保持される信念の極端なものは、固定観念や迷信につながるおそれがある。
[辻 正三]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
しん‐ねん【信念】
〘名〙
① (━する) 神仏をかたく信じること。信仰。
信心。
※地蔵菩薩霊験記(16C後)一「常に法花を信念し」
② かたく信じて疑わない心。自信の念。
※岡本の手帳(1906)〈
国木田独歩〉「人生は真面目なるもの在りといふがわれの信念ぞかし」
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信念
しんねん
belief
ある事象,命題,言説などを適切なものとして,ないしは真実のものとして承認し,受容する心的態度。目標到達のための特定の行動選択を含む積極的な活動の可能性をもつ。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
デジタル大辞泉
「信念」の意味・読み・例文・類語
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普及版 字通
「信念」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の信念の言及
【行為】より
…それではその意図の内実をなしているのは何であろうか。まず,この意図は,わたしの欲求(寒いので暖かくなりたい)と欲求を満たす手段に関する信念(暖房機のスイッチを入れると暖かくなる)を前提にした〈実践三段論法〉の結論として成立したものという点で,欲求や信念と関連をもっている。この推論は演繹推論のような必然性を伴うものではないが,その前提は意図と行為に〈理由〉を与え,それらを〈合理化〉する働きを担っている。…
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