枢密院(イギリス)(読み)すうみついん(英語表記)Privy Council

日本大百科全書(ニッポニカ) 「枢密院(イギリス)」の意味・わかりやすい解説

枢密院(イギリス)
すうみついん
Privy Council

イギリスの行政・司法機関。ノルマン朝以来イギリスには国王の政治上の諮問機関として全貴族の封臣会議があったが、全員が招集されるのはごく重要な国事の相談の場合だけで、日常の問題はそのうち少数の側近貴族との相談で解決された。13世紀後半から貴族全員の集会議会に発展し、一方、国王側近の少数貴族は、14世紀末ごろリチャード2世の少年時代に重要性を増し、枢密院とよばれるようになった。初めは国王の私的相談機関で人数も一定しなかったが、中世末からチューダー朝にかけて、王権の強化とともに国家機関のようになり、星室裁判所を自らの管轄下に成立させるなど、行政面だけでなく司法面にも大きな力を振るった。しかし17世紀になると、二度の革命と政党や内閣制度の発達により国王の政治上の実権が薄れるにつれて、その権力は衰えてゆき、権限も形式化していった。現在ではその機能は、海外領土からの上訴裁判所その他わずかなものに限られている。

松村 赳]

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