板倉郷(読み)いたくらごう

日本歴史地名大系 「板倉郷」の解説

板倉郷
いたくらごう

緑埜みどの西部の台地一帯を板倉と称している。埼玉県秩父ちちぶ郡東秩父村浄蓮じようれん寺の鐘に、正慶二年(一三三三)三月二二日銘で「上洲緑野郡板倉郷 円光寺鐘」とある。文明一八年(一四八六)富岡周辺を訪れた聖護院道興の「廻国雑記」に、「せしもの原、しほ川、しろいし、いたづら野、あひ川、かみ長川などさまざまの名所を行々て」とある「いたづら野」は板倉野とされる。また山城醍醐寺報恩ほうおん院の末寺帳(醍醐寺文書)に「上州緑埜郡板倉村 不動寺」とある。

板倉郷
いたくらごう

和名抄」高山寺本は「坂倉」と記す。高山寺本・東急本ともに「以多久良」と訓を付す。「大日本史国郡志」は「今上下板倉郷」とする。「日本地理志料」も上・下板倉郷の板倉・はり田井たい熊川くまがわ(現中頸城郡板倉町)姫川原ひめがわら濁川にごりかわ(現新井市)一帯にあてる。

板倉郷
いたくらごう

「和名抄」高山寺本は「以多久良」、東急本は「伊多久良」と表字は異なるが「イタクラ」と読む。郷域には諸説もあるが、現岡山市板倉・立田たつたを中心とする地域であることは確実で、吉備津神社の所在する吉備津をも含むとする説もある。天平一一年(七三九)備中国大税負死亡人帳(正倉院文書)に、板倉里の戸主鳥取部伎美麻呂の戸口山守部嶋売が六束、委文里の戸主中臣忌寸連鯨の戸口中臣忌寸連荒鹿火が三〇束の大税を借りて死亡したとある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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