松根村
まつねむら
[現在地名]櫛引町松根
北流する赤川の右岸に位置し、対岸西方は片貝村、北西は東荒屋村、北は黒川村、東は丘陵地帯を隔て宝谷村。相模（松根）川が西流して赤川に注ぐ。北西―南東に走る六十里越街道の宿駅で、東荒屋村とを結ぶ渡船場があった。同街道の登り口近くに中世の前館があった。館主は佐伯相模守と伝え、館跡を長者山・相模山とも称した。天正一五年（一五八七）庄内へ侵攻した山形城主最上義光の軍勢は松根川原で武藤義興軍を破っている（元文二年「富塚家勤書」鶴岡市郷土資料館蔵）。元和二年（一六一六）義光の甥で白岩城（現寒河江市）城主白岩備前守光広は、母の出身地である当村に城（松根城）を築き、櫛引郡八千四四七石（「万聞書」光丘文庫蔵）と村山郡白岩一帯と合せて一万二千石を領し（「最上義光分限帳」色川文書）、名を松根備前守と改めた。松根城は赤川の断崖に臨む平城で、その跡を城の内（筆濃余理）という。同城下には町場が形成され、万留帳（黒川春日神社文書）には「沢口より黒川之境迄七百間、町ニ罷成」と記される。
松根村
まつねむら
西川村の北方、大塔山（一一二二メートル）から南流する古座川本流の源で、深山幽谷の中に人家が散在。慶長検地高目録によると村高一四九石余、小物成八・五〇五石。三尾川組に属し、「続風土記」には家数六九、人数三一六とあり、「南紀徳川史」によれば村内の太古は椎茸と蜂蜜の産地であった。「続風土記」によると当地の四社明神社（現川岸神社）は一説に春日四所神を祀るといい、竜寿山永泉寺（臨済宗妙心寺派）は享保五年（一七二〇）に寺号を得たという。
松根村
まつねむら
[現在地名]金沢市松根町
土子原村の東に位置。上松根村とも記した（高免付給人帳など）。正保郷帳によれば高一一五石余、田方二町六反余・畑方五町余。寛文一〇年（一六七〇）の村御印の高一二五石、免五ツ八歩、小物成は山役一一六匁・草野役一〇匁・蝋役一匁・綿役一匁（三箇国高物成帳）。寛文年間の百姓数一〇（高免付給人帳）。安政二年（一八五五）の高は寛文一〇年時と同じで、家数二四（うち頭振一）・人数一一九、引免八歩（「高免家数人数等書上」亀田文書）。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
