末松廃寺跡(読み)すえまつはいじあと

国指定史跡ガイド 「末松廃寺跡」の解説

すえまつはいじあと【末松廃寺跡】


石川県野々市(ののいち)市末松にある古代寺院跡。手取川が形成する扇状地の中央、標高38m前後の水田地帯に立地する。寺域は東西約80m、南北の規模については未確認。伽藍(がらん)は金堂を西に、塔を東に置く配置を採用。白鳳寺院跡として、1939年(昭和14)に国の史跡に指定され、1969年(昭和44)には追加指定を受けた。塔、金堂、築地塀(ついじべい)および3軒の掘立柱建物跡などが確認されている。出土遺物には多量の瓦、瓦塔、須恵器(すえき)、土師器(はじき)、銀銭の和同開珎(わどうかいちん)がある。創建年代は7世紀後半で、創建者は北加賀に本拠を置く有力氏族・道君(みちのきみ)一族といわれ、屋根瓦の一部は辰口町(現能美市)湯屋(ゆのや)窯から供給されたと考えられている。現在、塔跡礎石が復元され、史跡公園として整備されている。JR北陸本線野々市駅または松任駅から車で約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報