暴を以て暴に易う(読み)ボウヲモッテボウニカウ

デジタル大辞泉 「暴を以て暴に易う」の意味・読み・例文・類語

ぼうもっぼう

《「史記伯夷伝から》一つ暴力を除くために、別の暴力を用いる。その無益なことをいう言葉
暴力に対しては暴力で立ち向かう。

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精選版 日本国語大辞典 「暴を以て暴に易う」の意味・読み・例文・類語

ぼう【暴】 を 以(もっ)て暴(ぼう)に易(か)

(「史記‐伯夷伝」の「伯夷叔斉耻之、義不周粟、隠於首陽山、采薇而食之、及餓且一レ死、作歌、其辞曰、登彼西山兮、采其薇矣、以暴易暴兮、不其非矣」による)
① 一つの暴を取り除くために、他の暴を利用する。結局は、暴を取り除くことにならないことのたとえ。
※明六雑誌‐四一号(1875)死刑論〈津田真道〉「刑典に曰く人を殺す者は死と、果して暴を以て暴に易るなり」
② 暴力には暴力で立ち向かう。

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故事成語を知る辞典 「暴を以て暴に易う」の解説

暴を以て暴に易う

ある暴力をやめさせるために、別の暴力を用いること。

[使用例] こっちにも浪士を集めて、あばれっこをさせればいい。暴をもって暴を制するというやつで、御用の暴力団を作ることがおもしろかろうというように考えましたから[三田村鳶魚*話に聞いた近藤勇|1930]

[由来] 「史記はく伝」に出て来るエピソードから。紀元前一一世紀ごろ、しゅうという国の武王が、新たに王朝を開いたときのこと。伯夷としゅくせいという兄弟は、周王朝が戦争によって殷王朝を滅ぼしたことを、厳しく批判しました。そして、「暴を以て暴に易う、の非を知らず(暴力によって暴力に取って代わり、その過ちに気づいていない)」という歌をうたいながら、山にこもって野草を採って暮らしていましたが、そのまま節義を守って、飢え死にしてしまったそうです。

〔異形〕暴を以て暴を制す。

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