日本常民生活資料叢書(読み)にほんじようみんせいかつしりようそうしよ

日本歴史地名大系 「日本常民生活資料叢書」の解説

日本常民生活資料叢書
にほんじようみんせいかつしりようそうしよ

第七巻(北海道篇)一冊 日本常民文化研究所編 三一書房 昭和四八年刊

解説 本書には、渋沢敬三が設立し、民間の民俗学研究を支援していた「アチック・ミューゼアム(昭和一七年日本常民文化研究所と改称)の「彙報」として第二次世界大戦前に刊行された四点の北海道関係の著作を収録している。そのうち知里真志保「アイヌ民俗研究資料」第一・第二は、のちに著名な言語学者となる著者が学生時代に郷里の幌別村(登別)において四人の老媼から採集したアイヌ説話をもとに編集したものである(著者は戦後も「日本常民文化研究所彙報」から「分類アイヌ語辞典」三巻を刊行し、朝日文化賞を受賞)。知里の義弟にあたる佐藤三次郎がまとめた「北海道幌別漁村生活誌」は、同村における魚種や漁法漁民の生活・迷信・子供の遊びなどが三人の船頭たちからの聞書によって生き生きと語られている。「南千島色丹島誌」は元色丹小学校長の大野笑三が、同島の調査に訪れたことのある各分野の研究者たちに執筆を依頼して編集したユニークな論文集である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報