しん‐ぎ【新儀】
〘名〙
① 新しいよそおい。新しい容儀。
※和漢朗詠(1018頃)下「龍新儀を
迎ふ。陶安公が駕
(のりもの)眼
(まなこ)に在り〈
都良香〉」
② 新しい儀法。新しいきまり。
※中右記‐天永三年(1112)一〇月一日「院御賀事、所
レ思
レ企也。仍今日可
二相定
一。或依
二先例一、或尋
二旧記
一、且申
二上皇
一、且凝
二新儀
一、所沙汰也」
※評判記・色道大鏡(1678)二「とかくよく世とをしうつりて、新義(シンギ)にしたがふをよしとす」 〔王安石梁書‐鮑泉伝〕
③ 新しい
事柄。非難すべき対象に用いることが多い。
※早稲田大学荻野研究室所蔵文書‐文治二年(1186)四月二五日・後鳥羽天皇宣旨「弟子僧浄学房恣振二威勢一、忽巧二新儀一、令レ押二領野上庄内佐佐小河村一」
※
信長記(1622)一五上「人の運末になりゆく時は、かならず
貪慾(とんよく)出来、新儀
(シンキ)の案を搆へ、
万民をなやまし」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
新儀 (しんぎ)
中国の古典を通じて平安時代の貴族社会や寺社にひろまったとみられ,〈旧儀〉〈先例〉に対して,新しい儀法,規式,事柄などをさす語として中世・近世にさかんにもちいられた。従来はみられなかった様相,事態,方法などをも幅ひろく包摂する語であり,中世においては,ほんらい領主からその権益(特権)を認められていた商人組織に対抗しつつ新たに台頭し活動しはじめた商人を〈新儀商人〉と呼んだりした。また,〈新儀を凝(こ)らす〉とか〈新儀を巧(たく)み出(い)だす〉とかいえば,創意工夫をかさねて〈新しいものを生み出す〉という意味で良いこととみられ,たとえば建武新政にさいして後醍醐天皇が〈朕が新儀は未来の先例たるべし〉(《梅松論(ばいしようろん)》)と宣言したのもその一例といえよう。しかし,いっぽうには〈よからぬ(悪い)新儀〉もあり,それが〈法に違(たが)うこと〉をさす〈非法(ひほう)〉の語と直結して〈新儀非法〉の新語が生まれ,とくに中世の荘園領主や武家政権が違法者,反逆者を非難するとき,しきりに適用した。
執筆者:横井 清
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
普及版 字通
「新儀」の読み・字形・画数・意味
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