斜子織(読み)ななこおり

改訂新版 世界大百科事典 「斜子織」の意味・わかりやすい解説

斜子織 (ななこおり)

経緯(たてよこ)に7本の撚糸を使ったことから出た名で,〈七子織〉とも書き表す。また,布面が魚卵のように見えるので〈魚子織〉,糸が並んで組織するので〈並子織〉とも書き表すといわれる。マット織,バスケット織,ホップサック織などともいう。本来,絹織物一種で,古くは京斜子,武州斜子(川越斜子,飯能斜子),桐生斜子や信州更級(さらしな),越後五泉,岐阜川島産が有名であった。おもに羽織,着尺地に使われたが現在はみられない。ほかに綿斜子,綿の変化組織の浮斜子,星斜子があった。

 織物組織の平織の変化組織に畝織(うねおり)と斜子組織があり,斜子組織には斜子織,変化斜子織などがある。経緯糸ともに2本以上ずつを並列して平織にして籠編目のように粗く浮沈を現した織組織のことを正則斜子織といい,それぞれ,2本,3本,4本斜子と呼ぶ。斜子組織と平組織を組み合わせたり,大小の斜子を組み合わせた混合組織のものを不規則斜子,また斜子,平織,畝織を組み合わせたり組織点を増減して組織を丈夫にするとか模様化したものを接結斜子,斜文斜子といい,総じて変化斜子,飾斜子と呼ぶ。近年は絹,綿,毛,麻のほか,化合繊に多く使われる組織で,ざっくりした地厚感があって織目が出るので通気性に富む。服地に多用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「斜子織」の意味・わかりやすい解説

斜子織
ななこおり

七子織、魚子織などとも書き、平織の変化組織である。経緯(たてよこ)ともに2本以上の糸を引きそろえにして織ったもので、平織を縦・横に拡大した組織である。材料は木綿のほかスフのものもみられ、生地(きじ)・組織により、オックスフォード、モンクス・クロス、ホップ・サッキングなどがある。

 単に「ななこ」というのは、経糸を甘撚(あまよ)りまたは無撚りのまま糊(のり)づけし、緯糸は太めのものを湿(しめ)し緯にして、平織に織ったものである。絹織物として各地でつくられ、京斜子、武州斜子、桐生(きりゅう)斜子が有名であった。生地が柔らかく光沢があって特殊な味があるが、この風合いに似せて木綿を使い、シルケット加工によって絹のような光沢をもたせたものもある。

[角山幸洋]

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