文切(読み)あやぎれ

精選版 日本国語大辞典 「文切」の意味・読み・例文・類語

あや‐ぎれ【文切】

〘名〙
① 鳥の鳴き声や、ことばの発音などがはっきりしていること。音声歯切れのよいこと。
浮世草子・好色一代女(1686)一「八雲立(やくもたつ)国中(こくちう)男女言葉のあやぎれせぬ事のみ多し」
筋道がはっきりしていること。明確であること。
浄瑠璃・山城国畜生塚(1763)一「呑むとも噛むともあや切(キ)れのせぬ返答
敏腕ですぐれた能力のあること。
※松翁道話(1814‐46)二「格別あや切れのした人でもなければ、死ぬると」

あや‐ぎ・れる【文切】

〘自ラ下一〙 音声がはっきりしている。歯切れよく発音する。
※浮世草子・男色大鑑(1687)六「口も動さずして言葉のあやきれて、聞(きく)に情含(ふくみ)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の文切の言及

【古筆】より

…そのために古筆巻物の切られることも激しくなり,その流行にともない,筆跡の鑑定をおこなう古筆了佐のような専門家もあらわれた。古筆切はそのほとんどが歌切,文切,経切からなり,ことに歌切が多い。歌切は勅撰あるいは私撰の和歌集,歌合(うたあわせ),《和漢朗詠集》の断簡など,文切は物語,縁起,手本,歌論書,漢籍,書状消息など,経切は写経および律,論の仏書などである。…

※「文切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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