敷島の・磯城島の（読み）しきしまの

精選版 日本国語大辞典

しきしま‐の【敷島の・磯城島の】

枕

① (「しきしま」は大和国磯城郡の地で、崇神・欽明両天皇の宮があったと伝承される所) 敷島の宮のある大和の意で、国名「やまと」にかかる。

※万葉（８Ｃ後）九・一七八七「礒城嶋能(しきしまノ) やまとの国の 石上(いそのかみ) ふるの里に 紐解かず 丸寝(まろね)をすれば」

② (転じて) 日本全体をさす「やまと」にかかる。

※万葉（８Ｃ後）一三・三二五四「志貴嶋(シキしまの)やまとの国は言霊(ことだま)の助くる国ぞま幸(さき)くありこそ」

③ 和歌のことを「敷島の道(みち)」というところから「道（方面の意）」と同音の「道」にかかる。

※新後撰（1303）神祇・七五九「年を経て祈る心をしきしまの道ある御代に神もあらはせ〈祝部行氏〉」

④ 大和の国の地名「布留(ふる)」の意で、「布留」と同音の「経る」「古」などにかかる。

※蜻蛉（974頃）中「言ふよりも聞くぞかなしきしきしまの世にふるさとの人やなになり」

出典　精選版 日本国語大辞典