教職協働(読み)きょうしょくきょうどう(英語表記)cooperation of teaching and clerical staff

大学事典 「教職協働」の解説

教職協働
きょうしょくきょうどう
cooperation of teaching and clerical staff

大学の掲げる目標や仕事の内容に共感した教員と職員が,協力して任に当たること。内容の共有や役割分担ができていれば,教員と職員との間に協働関係が自然発生するとは限らない。中世の頃からギルド的な組織といわれ同僚性が強い専門家集団である教員組織と,階層構造をもったピラミッド型の総合職集団といえる事務組織の二つが,大学には併存する。これまでの慣行(職員は教員を支える黒子的な存在)から,両者が対等に仕事を進めることは難しいとされてきた。そうした現状を踏まえ,1995年(平成7)の大学審議会答申「大学運営の円滑化について(大学審議会答申)」は,教員組織と事務組織を車の両輪たとえ,両者の良きパートナーシップの確立が必要であると提起した。2008年の中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」には「教員と協働する専門性の高い職員」とあるが,これは専門性を前提とした教職員対等論から脱していない。教職協働を任務遂行のための手引き(技法)と捉えるのか,大学における仕事観(理念)に基づく教職員論と考えるのかによって教職協働の捉え方は異なるが,職業文化の違う両者が互恵的な関係を築くことによる大学運営が求められている。
著者: 田中岳

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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