掛札・懸札(読み)かけふだ

精選版 日本国語大辞典 「掛札・懸札」の意味・読み・例文・類語

かけ‐ふだ【掛札・懸札】

〘名〙
① 板、紙に規則やその施行要領などを記し、衆人の見やすいように、壁、塀、門前に掲げた札。
高野山文書‐建武二年(1335)五月日・金剛峰寺衆徒契状「捧停止之奏状及違背之懸札之上者」
※禁令考‐前集・第六・巻五七・寛政七年(1795)一〇月一六日「大坂表諸家蔵々切手米之儀取集、蔵米を懸札致、町人共入札にて売払候」
② 目につきやすいところに掛けておく札。門札、看板の類。
※禁令考‐後集・第三・巻二七(1684)「一願不請儀を叶候躰に申成し、会所建、掛札等出候もの 家財取上 所払」
江戸時代、変死者、行き倒れ者などがある場合、掲示された札。身寄りの者に知らせるためのもので、江戸芝口掛札場のものが有名。立札
※続地方落穂集(1808頃)一六「尤芝口御掛札差出候事なり」
④ 江戸時代、年貢取り立ての際、免率(徴収率)などを記して庄屋の門前などに掲げられた札。百姓に免率を納得させ、年貢徴収の際の村役人の不正を防止するために領主が掲示したもの。
牧民金鑑‐三・村役人心得方・寛延二年(1749)三月一六日「御取箇極次第右掛札いたし、翌年御取箇懸札いたし候迄差置」
⑤ 江戸時代、代官陣屋などに、張訴(はりそ)捨訴(すてそ)が行なわれた際、代官などが訴状に添えて公事方(くじかた)勘定奉行に提出した書付。張訴の状況などが記された。
※牧民金鑑‐二〇・越訴・嘉永元年(1848)二月一七日「御代官屋鋪、又者陣屋等え張訴捨訴有之候節、懸札認方之儀」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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