公事方(読み)くじかた

精選版 日本国語大辞典 「公事方」の意味・読み・例文・類語

くじ‐かた【公事方】

〘名〙
江戸時代公事裁判関係事務。また、それをつかさどる役人。〔科定類聚(古事類苑・官位七二)〕
※禁令考‐前集・第二・巻一五・寛保三年(1743)一一月一七日「勝手方公事方事務取扱の定 〈略〉公事方え可付分」

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デジタル大辞泉 「公事方」の意味・読み・例文・類語

くじ‐かた【公事方】

江戸時代、勘定奉行およびその属僚うち司法警察を分掌したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「公事方」の意味・わかりやすい解説

公事方
くじかた

江戸幕府勘定所(かんじょうしょ)、勘定奉行(ぶぎょう)の分課。公事・訴訟を扱い、財政担当の勝手(かって)方に対する。

[編集部]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「公事方」の解説

公事方
くじかた

江戸時代,裁判関係の事務,またそれを担当する役人。幕府の場合,1721年(享保6)に勘定奉行が公事方と勝手方にわけられた。支配下役人からの急ぎの諸願,支配下役所からの当座注進などを処理するほか,おもに民事刑事の訴訟関係を扱い,評定所にも公事方だけが出仕した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「公事方」の解説

公事方
くじかた

江戸幕府において直轄領の訴訟事務を扱った役職
1722年幕府は勘定奉行の定員を4名とし,勝手方2人と公事方2人とに分け職務分掌を明らかにした。

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世界大百科事典(旧版)内の公事方の言及

【勘定奉行】より

…勘定組頭は64年(寛文4)初めて6人が置かれ,御殿詰,上方,関東方に分けられていたが,1723年(享保8)この区分は廃止され,勘定奉行による一元的代官統制が実現した。1721年勘定所職務は司法を行う公事方と財政事務を行う勝手方に分かれ,翌年勘定奉行,勘定吟味役も双方に分かれ2人ずつ1年交代で勤務した。公事方は役宅で,勝手方は御殿,下勘定所で執務した。…

【公事】より

…訴訟としての公事は戦国大名において一般的に用いられ,さらに江戸幕府では公事といえば訴訟をまず意味するようになった。〈公事方〉とは訴訟を取り扱う裁判機関を意味し,《公事方御定書》と呼ばれる訴訟・裁判にかかわる法令や手続の書物も編集された。【五味 文彦】。…

※「公事方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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